「彼らは世界にはなればなれに立っている」太田愛
架空の町<塔の地>を舞台にした物語。
中央府による文化や情報の制限に抗うことなく、保身のために中央府への忠誠を近い、受容し、周囲に合わせながら暮らす人達を待つ結末とは・・・
淡々と話が進み、終盤は作者のメッセージ的な要素がかなり濃くなります。「犯罪者」や「幻夏」とは作風も世界観も異なるので、そういった過去の作品と同じようなものを期待する人には期待外れかもしれません(私も、ちょっと期待と違いました)。
安全に尊厳を持って生きられる時代の背景にある、長い困難な時代の存在があることや、政府から発信されることを無条件に受容することの危険性など、「天上の葦」に通じるところもあり、作品を通じて伝えたいメッセージなのかもしれません。
・・・が、やっぱり、個人的には、修司・相馬・鑓水が活躍する作品が好き!