「アフターデジタル」/「アフターデジタル2」藤井保文

藤井保文さんの「アフターデジタル」と「アフターデジタル2」 オフラインの世界で、インターネットにつながったオンラインの付加価値をつけていくというのが従来の考え方。しかし、今や、オンラインとオフラインの境界が無くなり、その主従関係も変わってい…

「砂漠」伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さんの「砂漠」。 社会に出る前のモラトリアム期間を過ごす大学生の男女5人の日常を中心に描いた青春小説。ものすごく大きな事件が起きる訳では無いのですが、どこにでもいそうな登場人物達の日常だからこそ、過去の学生時代を思い起こしつつ、世…

「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」今村 翔吾

今村 翔吾さんの「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)」。 江戸時代の火消しを題材にした時代小説。主人公の松永源吾は「火喰鳥」の異名を持ち、かつて、江戸随一の火消しの評価を得ていた。 しかし、過去の火事が原因で火消しを離れ、浪人暮らしとなってしま…

「満願」米澤 穂信

米澤 穂信さんの「満願」。 2014年の「ミステリが読みたい!」、「週刊文春ミステリーベスト10」、「このミステリーがすごい!」で1位を獲得し、史上初の3冠に輝いた作品。 「儚い羊たちの祝宴」では独特の世界観が描かれていましたが、本作は、交番勤務の警察…

「影法師」百田尚樹

百田尚樹さんの「影法師」 学問も、剣も、誰よりも達者で、人格者だった幼馴染の彦四郎。そんな完璧だったはずの彼が、なぜ、白昼堂々、女性に狼藉を働き、行方をくらまし、不遇の死を遂げたのか。 下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は、20年ぶりに…

「グラスホッパー」伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さんの「グラスホッパー」 妻を殺され、復讐を目論む元教師の「鈴木」、相手を自殺に追い込む、自殺屋の「鯨」、ナイフ使いの若者「蝉」。 「鈴木」の復讐の相手である寺原の息子は、「鈴木」の目の前で通りすがりの車に轢かれて死んでしまうが、…

「儚い羊たちの祝宴」米澤 穂信

米澤 穂信さんの「儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)」。 夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」を共通点とした5つの事件が描かれた短編集。 Twitterで評判が良かったのですごく期待して読んだのですが、一話目を読み終えた時には、正直なところ…

「阿弥陀堂だより」 南木佳士

南木佳士さんの「阿弥陀堂だより」。 自信を喪失した作家と、医師として活躍していたが精神的に病んでしまった妻。故郷の長野に移り住み、村での生活や阿弥陀堂のおうめ婆さんらと交流する中で、心身ともに少しずつ変化していきます。 村の寂れた、もの悲し…

「運転者」喜多川泰

喜多川泰さんの「運転者」。 何で自分ばっかりこんな目に合うんだ・・・と不運を呪い、イライラする主人公の前に表れた不思議なタクシー。 料金は不要で、運が良くなる機会を与えてくれる場所に運んでくれる謎の運転手との会話や、行く先々での体験を通じて…

「空飛ぶ馬」北村薫

北村薫さんの 「空飛ぶ馬」。 女子大生の主人公と、大学の同窓の先輩である、噺家の円紫師匠が日常の謎を推理していく短編集。 博識で、大人な円紫師匠が名探偵ぶりを発揮します。殺人などの大きな事件ではなく、「喫茶店で3人の女性が紅茶に大量の砂糖を入…

「のっけから失礼します」三浦しをん

三浦しをんさんの「のっけから失礼します」。 ご自身の年齢や容姿をいじりつつも、乙女心満載の爆笑エッセイ。 感動作「風が強く吹いている」や直木賞受賞作「まほろ駅前多田便利軒」の作者とは思えないくらい、ユーモア(おふざけ?)あふれる内容です。 4…

「ラッシュライフ」伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さんの「ラッシュライフ」 画家、泥棒、教祖に惹かれる青年、医師、失業者を主役とした5つのストーリーがあちこちで繋がりながら、並行して進んでいきます。 ユーモアもあり、読み進めるに連れて「あの時のあれ/あの人が!?」と繋がっていく様は…

「夏の騎士」百田尚樹

百田尚樹さんの「夏の騎士」 クラスでもパッとしない小学生3人が騎士団を結成し、友情、恋、冒険を経験しながら成長していく、昭和を舞台にしたお話。 私が主人公と同い年ということもあり、作品中の世界観や、自身の子ども時代を懐かしく思いつつ、「勇気」…

「毒を売る女」島田壮司

島田壮司さんの「毒を売る女」 毛色の違う8つの作品が収められた短編集。 表題作の「毒を売る女」は、我が家にも幼稚園児がいて、いろんなママがいるんだなというのは日頃から感じていたので、表題作で描かれている幼稚園のママ友の妬みや攻防はちょっとリ…

「背の眼」道尾秀介

道尾秀介さんの「背の眼」 道尾秀介さんのデビュー作にして、ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。子どもが行方不明になる事件が続くとある村に、作家の道尾と、旧友の霊現象探求所の真備が訪れ、心霊現象を解明するお話。 心霊現象を扱っているものの、ホラ…

「切り裂きジャック・百年の孤独 」島田荘司

島田荘司さんの「切り裂きジャック・百年の孤独」 1888年に実際にロンドンで起きた切り裂きジャック事件。その100年後にベルリンでそっくりな事件が起きる・・・ 切り裂きジャック事件をモチーフにした事件を描きつつ、現在も未解決のロンドンの切り裂きジャ…

「まほろ駅前多田便利軒」三浦しをん

三浦しをんさんの「まほろ駅前多田便利軒」 第135回直木賞受賞作。 駅前で便利屋を営む多田と、高校時代の同級生である行天が依頼者からの仕事をこなしていく中で、様々な人生の機微が描かれます。大きな事件もなく、個々の依頼が実は繋がっていて最後に意外…

「すべてがFになる」森 博嗣

森 博嗣さんの「すべてがFになる」 孤島の研究所で、少女時代から隔離された生活を送っていた天才・真賀田博士。ある日、密室である彼女の部屋から両手両足が切断された死体が発見される。一体、誰が、どうやって・・・ 前代未聞の死体の登場の仕方に度肝を…

「彼らは世界にはなればなれに立っている」太田愛

太田愛さんの「 彼らは世界にはなればなれに立っている (角川書店単行本) 」 架空の町<塔の地>を舞台にした物語。 中央府による文化や情報の制限に抗うことなく、保身のために中央府への忠誠を近い、受容し、周囲に合わせながら暮らす人達を待つ結末とは・…

「バイバイ、ブラックバード」伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さんの「 バイバイ、ブラックバード 」 「あのバス」に乗せられるまでの2週間、見張り役の怪人:繭美と共に交際相手(5人)に別れを告げに行くお話。 破天荒な繭美と鈍感な星野のユーモアあふれるやり取りや随所に描かれる繭美の怪人っぷり、個性的…

「ラットマン」道尾秀介

道尾秀介さんの「 ラットマン (光文社文庫) 」 家族内の複雑な感情や、勘違いから生まれた思考や苦悩がうまく描かれ、終盤に次々と伏線が回収されていくのは流石。 前半は大きな盛り上がりは無いものの、登場人物達の人間関係や心情がきちんと描かれ、密かに…

「占星術殺人事件」島田荘司

島田荘司さんの「 占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫) 」 密室で殺された画家と、体の一部を切り取られて惨殺された6人の娘たち。一体誰が?どうやって?? 事件から40年以上経過して明らかになった新事実から、真相が明らかに・・・ 同じ御手洗さんシ…

「異邦の騎士」島田荘司

島田荘司さんの「 改訂完全版 異邦の騎士 (講談社文庫) 」 主人公が公園のベンチで目覚めると記憶を失っていた・・・という設定で始まり、そこからラストまで、まさに山あり谷ありの展開 突っ込みどころは多々ありますが、それを差し引いてもすごい作品でし…

「幸福な生活」百田尚樹

百田尚樹さんの「 幸福な生活 (祥伝社文庫) 」 一話あたり平均17ページで完結する、全19話のショートショート。 すべてのお話で、ページをめくった最後の一行にかなりブラックだったり、ぞっとするような結末が待っています(何気なくパラパラめくるとオチが…

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」東野圭吾

東野圭吾さんの「 ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫) 」 かつて悩み相談を請け負っていた雑貨店と、悩みを抱える人々を連作短編形式で描いた、時空を超えたファンタジー。 悪事を働いた3人が逃げ込んだ廃業していると思しき雑貨店。そこに真夜中にも関わらず、…

「データ分析のための数理モデル入門」

今回は小説ではなく、技術解説書の「 データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために 」 データ分析やモデルについて俯瞰して書かれており、概要を広く理解できます(個々のお話はそんなに深くはないです)。 また、モデル作成時の注意点やノ…

「カエルの小指」道尾秀介

道尾秀介さんの「 カエルの小指 」。 前作「 カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫) 」から10年以上経った世界。詐欺師から完全に足を洗った武沢は実演販売士として真っ当に生きていた。 そんなある日、謎の女子中学生が現れ…

「風が強く吹いている」三浦しをん

三浦しをんさんの「 風が強く吹いている 」 箱根駅伝には全く興味がなかったのですが、三浦しをんさん原作の映画を観たことをきっかけに読みました。読んで良かった! 陸上への興味も、経験も無い素人同然の大学生達が、ある一人の情熱によって箱根駅伝を目…

「透明人間の納屋」島田荘司

島田荘司さんの「 透明人間の納屋 (講談社文庫) 」 。 孤独な少年ヨウイチが唯一心を許し、尊敬する人物である、隣人の真鍋さん。彼は、透明人間が存在すること、そして、納屋で透明人間になる薬を作っていることをヨウイチに告白する。 そんなある日、密室…

「異人たちの館」折原一

折原一さんの「 異人たちの館 (文春文庫) 」 2018年本屋大賞発掘部門「超発掘本!」 樹海で見つかった白骨死体。近くに落ちていた免許証から、失踪した小松原淳と推定された。それでも、淳の母は息子の帰還を信じて、売れない作家志望の島崎に息子の伝記の執…